安全停止でじっとしていられないのはなぜ?
こんにちは、左右です。
ダイビング中、安全停止で「なんだかうまく止まっていられない」「同じ水深でじっとしていられない」と感じたことはありませんか?
実はこれ、初心者に限らず多くのダイバーが悩むポイントなんです。
私自身、今でこそだいぶマシになってきましたが、安全停止の8~5mあたりではいまだに「ウロチョロしてしまう」こともあります(笑)
今回は、「なぜ安全停止中に水深を一定に保つのが難しいのか?」をわかりやすく解説していきます。
少しだけ物理の知識を整理するだけで、グッと安定するコツがつかめますよ!
浅い場所ほど浮力の変化が大きい!
オープンウォーター講習で学んだ気圧の話、覚えていますか?
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地上:1気圧
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水深10m:2気圧
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水深20m:3気圧
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水深30m:4気圧…というやつです。
この「水圧」が浮力に大きく関係しています。
実は、水深が浅いほど、わずかな深度の変化で浮力が大きく変化します。
安全停止中のような浅場では、ちょっと息を吸ったり吐いたりしただけで、浮いていったり、沈んでいったりしやすいんです。
風船で考える浮力の変化
イメージをつかむために、オープンウォーターで習った風船の復習をしてみましょう。
水面で空気1㎥を入れた風船を沈めていくとどうなるか?
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水深0m → 1㎥(元の大きさ)
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水深10m → 0.5㎥(半分)
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水深20m → 約0.33㎥(約1/3)
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水深30m → 約0.25㎥(約1/4)
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水深40m → 約0.2㎥
水深10mまでは、1m深くなるごとに浮力がどんどん急激に減っていきます。
でも、30~40mの間での浮力の変化はごくわずかになります。
この「浅場ほど浮力の差が大きい」というのが、5~8mの安全停止中に安定するのが難しい最大の理由です。
呼吸の仕方で浮き沈みが変わる
ダイビングでの浮力の調整は「BCD(またはドライスーツ)」と「呼吸」です。
イメージ的には8~9割のざっくりした浮力の調整を器材で行って、呼吸で微調整するという感じでされる方が多いと思います。
深場では多少の水深変化があっても、BCDやスーツの浮力にそれほど大きな変化は出ません。
呼吸で多く吸ったり、吐いたりして多少の水深が変化してもBCDやスーツの浮力にほとんど影響がないので、同じ水深にとどまって居やすい(中性浮力がとりやすい)のです。
しかし、浅場では多少の水深変化がBCDやスーツの浮力にはっきりとした変化を与えてしまうため、より繊細な呼吸による調整が必要になります。
過去記事でもご紹介しましたが、中性浮力はプラス浮力とマイナス浮力の力を呼吸のリズムでタイミングをずらして釣り合わせた状態です。

呼吸をミスってちょっと浮いてしまう、ちょっと沈んでしまうだけで、BCDやスーツの浮力が変化して、プラス浮力やマイナス浮力にすぐに偏ってしまいます。
私の経験では、浅場で呼吸を「大きくゆっくり」すると水深の上下幅が大きくなってしまうので、水深が変化して同じ水深でキープしていられないことが多いです。
なので、「小さくゆっくり呼吸」を意識することで、呼吸による水深の振れ幅を減らして浮力が変化しにくいようにしています。
どんなに水深をキープしたくても、絶対に息を止めてはいけません!
浅い場所で息を止めたまま吹き上げられてしまうと、肺の中の空気が急激に膨らんで肺損傷(過膨張)を起こす危険が高いですので要注意です。
安全停止はタンクが一番軽くなるタイミング
もうひとつ見落としがちなのが、タンクの重さの変化です。
特にアルミタンクの場合、空気を使えば使うほどタンクはどんどん軽くなっていきます。
たとえば、200→50まで残圧が減った場合、タンク内の空気の重さも半分以下になります。
そのため、ダイビング終盤の安全停止のタイミングでは「タンクが軽くなっている」=「全体の浮力が増している」状態です。
これに気づかずにウェイトが軽すぎると、浮き気味になって水面に上がってしまいやすくなるんです。
適正ウェイトで潜ろう
個人的に、「ウェイト調整が合っているかどうかが一番試されるのが安全停止」だと思っています。
潜行時は多少足りなくても頭から勢いよく潜っていけばなんとかなります。
でも、安全停止はごまかしが効きません。
もし「浮いてしまいそう!」というときは、私は石を拾って「石抱えダイビング」をしています(笑)
ただし、これはあくまで緊急対応。やっぱり最初から適正ウェイトで潜ることが大切です。
まとめ:安全停止が難しいのは当たり前。
安全停止で水深を一定に保つのが難しいのは、ダイバーのスキル不足ではなく、物理的に難しい状況だからなんです。
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浅場は浮力変化が激しい
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呼吸の影響が大きい
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タンクが軽くなって浮きやすい
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ウェイトが少ないとさらに浮きやすい
だからこそ、呼吸は「小さくゆっくり」、ウェイトはしっかり適正を意識して、少しずつ練習していきましょう。
私もまだまだ修行中ですが、少しずつでも「ピタッ」と止まれるようになると、カッコいいですよね。
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