浮力調整は早めにって言われる理由

ダイビングスキル

こんにちは、左右です。

浮きすぎてきたな~とか、沈みすぎてきたな~っと思ったらBCDやドライスーツの空気を給気するか排気するかして浮力調整すれば良いのでは?と思ってしまいますが、ほとんどのイントラ(インストラクター)さんが、早めに浮力調整はしたほうがいいってアドバイスをしてくれることが多いです。

これはなんでかな~っと思っていたんですが、急に吹き上げられたり、急に沈んで行ってしまうには浮力だけの問題じゃない力について今日は考えてみたいと思います。

浮力以外の力の正体は勢い

簡単な式を出しますが、算数嫌いな方は読み飛ばしてもらって大丈夫です。

中性浮力は浮く力と沈む力が呼吸のリズムで釣り合った状態です。つまり、

↑浮く力+↓沈む力=0

浮いていってしまうのは、浮く力が強すぎるし、沈んでいっちゃうのは沈む力が強すぎます。つまり、

浮いていく(プラス浮力):↑浮く力+↓沈む力>0

沈んでいく(マイナス浮力):↑浮く力+↓沈む力<0

という式になるのですが、この不等式の状態は、放っておくとそちらの方向にどんどん勢いがついていってしまいます。

例えば、浮く力が1・沈む力が0.5の時は、1秒後は0.5の浮く力が速度(勢い)に置き換わります。

そして、浮くとBCDの中の空気が膨張するので、浮力がさらに強くなってさらに↑への速度(勢い)が増していきます。

沈む場合もBCDの中の空気が圧縮されるので、浮力がさらに弱くなってさらに↓への速度(勢い)が増していきます。

浮力調整が遅いことのデメリット

浮力調整が遅くなってしまうと、同じ水深に戻るには「浮力+速度」の力よりも強い力が必要になります。

早いほど止まりにくいのと同じで、1秒浮力調整が遅れる毎に同じ水深に戻るためにより大きな力が必要になります。

その為に、フィンキックをバタバタする羽目になったり、一度BCDの空気を抜いて水深を下げてからもう一度BCDに給気といった感じで、エアを無駄に消費する必要が出てきます。

勢いがつく前に早めにBCDの浮力を調整する方が無駄なエネルギーもなくなるし、エア持ちもよくなります。

どのタイミングで調整したらいい?

ダイビングは最初に一番深いところに行って、そこから徐々に水深をあげていくほうが、減圧症のリスクが下がるので、安全な潜り方をしていれば、目標とする最大水深までは基本的には給気を少しずつちょこちょこする。

逆に最大水深以降は水深を徐々に上げていくので、排気を少しずつちょこちょこするという感じで、ダイビング序盤と終盤で逆のことをしていれば大丈夫なはずです。

ドライスーツの場合は、私は最大水深まではロックしておいて、最大水深まで来たらオートに切り替えて姿勢で排気を調整することが多いです。

個人的に一番難しいなと思うのは、写真を撮るために一時的に少しだけ(1~2m)水深を変えるときです。

今いる水深よりも深いところであれば、給気せずにフィンキックで水深だけ下げて浮力が足りなければ少しだけ給気するって感じで私はやっています。

しかし、今いる水深よりも浅いところの場合は、先に排気しておかないとBCDの空気が膨張して吹き上げられやすいので、水深をあげる前にちょっとだけ先に排気してから水深をあげていくようにしています。

深いところほどあんまり調整しなくていい?

OWやAOWで習ったと思いますが、空気の膨張・圧縮率は水深が浅いところほど大きいです。

空気の膨張率の話は、少しややこしいので詳しい話は別の記事でまた書きたいと思います。

浅いところほど1~2mの水深の差でも早めに調整していかないと、空気が急に膨張するので吹き上げられてしまいやすいです。

逆に30m付近だと給気をしっかりしないと墜落していくので注意が必要ですが、水深をあげても一気にBCDの空気が膨張しないので、吹き上げられにくいです。

深いところほど上級者っぽく感じますが、浮力の調整だけでいうと実は浅いほうが難しいんですよね💦

私は安全停止でピタッと止まっている人見ると、素直にすごいなーって尊敬してます。

まとめ

浮力の調整を早めにしたほうが良いといわれる理由は、浮力調整が遅れることで、速度が加わってしまい、元の推進に戻るためにより大きな力でのフィンキックが必要になったり、BCDの給排気が必要になって、エアの無駄が生じやすいからです。

ダイビングの序盤は少しずつ給気をしていく、予定していた最大水深まで来たら、少しずつ排気を繰り返していくことが基本になります。

ドライスーツの場合は最大水深にきたら、LockからAutoに切り替えるのが個人的にはおすすめです。

水深が浅いところほど、浮力の調整が難しいので、浅いところほど早め早めの浮力調整が大切で、深いところほど沈み気味だけ注意していれば多少の浮力調整の遅れは何とかなることが多いです。

浅い場所で行う、安全停止でピタッと止まれる人はやはり上手ですね。

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