こんにちは、西伊豆(獅子浜)を拠点に活動している練習専門ガイド『ボイヤンシー』の佐野です。
せっかく潜行を始めても、毎回「おっとっと」と後ろにひっくり返るような姿勢になっていませんか? 実は潜行には、物理的なジレンマがあります。
- 空気を抜くための「直立姿勢」
- バランスを保つための「前傾姿勢」
この2つは、実は真逆の形をしているのです。 これをどう解決するかが、スムーズな潜行の鍵です。
今回は、フリー潜行で後ろに倒れないコツを、解剖学と物理学の視点から紐解いていきましょう。
タンクの重さと物理学
なぜ水面では後ろに倒れやすいのか?
私達の身体の重心はへその下3cmぐらいの位置に来るといわれていますが、ダイビングの装備を装着すると、タンクの重さ分どうしても背中側に重心位置が移動しています。
その為、水面で直立姿勢(排気姿勢)をとると、重いタンクを背負っている背中側に重心が寄ります。
地上では足裏が「支点」となって踏ん張れますが、浮いている水面ではストッパーがありません。
その結果、BCDの排気の基本である「体を起こして排気ボタンを押す」をしっかりと行っている人ほど、後ろにひっくり返されやすくなってしまうのです。
さらに、BCDの空気を抜くと背中側の浮力が失われるため、タンクの重さに引かれるまま「背中から沈んでいく」ことになってしまいます。
頭の重さを利用した「スマホ姿勢潜行」
頭の重さを使って、重心の位置を前にずらすテクニック
重いタンクは約16kgほどあるといわれていますが、人間の頭の重さは約5kg(ボウリングの球ほど)あります。
この頭の重さを前方に預けることで、後ろにかかるタンクの重さとバランスを取る方法が一番現実的な解決策です。
まるで「手元のスマホを覗き込む」ような姿勢で、視線を海底に向けるだけで、重心が自然と前へ移動し、自然な前傾姿勢に近づきます。
ついつい、排気ができているか確認したくてインフレーターホースを覗き込みたくなりますが、そうすると顔が上がって重心が後ろに移動してしまいます。
排気は「目」ではなく、逃げていく気泡の「音」で確認するようにしましょう。
それでも倒れる場合の「丸める」姿勢
「体幹の屈曲」で強制的に前傾を作る
頭の調節だけでバランスが取れない場合は、背骨を丸める「体幹の屈曲(お腹を丸める動き)」を利用しましょう。
股の間を覗き込むように体を「くの字」に丸めると、一時的に重心が大きく前に移動し、強制的に前傾姿勢を作れます。
ただし、倒しすぎには注意です。
水平姿勢に近づきすぎると今度はBCDから排気できなくなるので、「後ろに倒れないギリギリ」を保ちつつ、排気がスムーズに行える角度を見極めるのがポイントです。
あえてひっくり返ったまま潜行する
潜行時の姿勢の問題は、排気しやすい姿勢を取るとひっくり返され、ひっくり返されにくい姿勢(水平)を取ると排気できないというジレンマがあります。
その為、あえてひっくり返された状態で排気して、潜行してすぐに寝返りを打つように回転して前傾に戻してしまうというのも一つの方法です。
このスキルはダイビング中にバランスを崩してひっくり返ってしまった時にも使えるスキルなので、上達するとほとんど使わなくはなりますが、初心者が最初に身につけたいリカバリーテクニックの一つです。
まとめ
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直立姿勢は重心が背中寄りにくるため、ひっくり返りやすい。
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「スマホを覗き込む姿勢」で頭を前に出し、視線を海底に向けるのが一番簡単。
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排気は「目」ではなく「音」で確認し、姿勢を崩さない。
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慣れないうちは、寝返り回転によるリカバリーも有効。
西伊豆・獅子浜でのマンツーマン・スキルアップ。
皆さんが「潜行が簡単!」と思えるまで、とことんお付き合いします!スキルアップ・プラクティスをぜひご利用ください。

