なぜ「オーバーウエイト」はダメなの?練習専門ガイドが教える3つのリスク

ダイビング器材

こんにちは!西伊豆・獅子浜を拠点に活動している、練習専門ダイビングガイド『ボイヤンシー』の佐野です。

「適正ウエイトで潜りましょう。」

多くのインストラクターが口を酸っぱくして言いますが、潜行に不安がある方からすると「念のため重くしておきたい……」という気持ちになりますよね。

しかし、なぜオーバーウエイトがいけないのか?

その具体的な理由をしっかり解説してくれる機会は、意外と少ないかもしれません。

今回は、オーバーウエイトで潜り続けることの大きなデメリットを解説します。

潜行は楽だけど、急な潜行で耳抜きが間に合わない

オーバーウエイトにすると、息を吐かなくてもBCDの排気だけでスルスルと沈めます。

一見楽に思えますが、実はここに落とし穴があります。

適正ウエイトの人はゆっくり沈むため、こまめに耳抜きをする余裕があります。

一方、重すぎる人は潜行速度が速すぎて、耳抜きが追いつかなくなるのです。

すぐに水深をコントロールできないと、水圧で鼓膜を傷めるだけでなく、最悪の場合は内耳に海水が侵入し、激しい眩暈(めまい)や事故を招く恐れがあります。

「一生ダイビングを楽しめない体」になるリスクを冒してまで、急いで沈むメリットはありません。

エアの消費が格段に早くなる

ウエイトが重い分、水中ではBCDにたくさん給気して浮力を確保しなければなりません。

これが「エアの減り」に直結します。

  • 水の抵抗が増大する: BCDを大きく膨らませると、水中で受ける抵抗が激増します。
    密度が空気の約800倍もある水中では、少しの膨らみが大きなブレーキになり、進むために無駄なフィンキックを行うことになるので、エネルギー(=呼吸)を使うことになります。

  • 深い水深でのロス: 深場では周囲圧が高いため、BCDを少し膨らませるだけでも、浅場よりずっと多くの空気をタンクから消費します。(-30mでは水面での給気の4倍消費する計算です)
    自分だけ残圧の減りが早い……という悩み、実はオーバーウエイトが原因かもしれません。

浮力コントロールの難易度が上がる

BCD内の空気が多ければ多いほど、水中で姿勢を変えた時に空気が大きく移動します。

完璧な水平姿勢(トリム)を維持できれば良いですが、少しバランスを崩しただけで空気が一箇所に偏り、体がひっくり返る原因になります。

また、水深10m以浅での「吹き上げ」リスクも高まります。

浅場では空気の膨張率が大きいため、排気が一瞬遅れるだけで急浮上を招き、減圧症のリスクを跳ね上げてしまいます。

適正ウエイトで最小の給気であれば、一瞬の遅れで吹き上げられかけても、すぐの排気で間に合いますが、排気バルブから出せる空気のスピードには限界があるため、もともとの空気が多いオーバーウエイトは非常に危険なのです。

【コラム】プロが重めに潜っている理由

「でも、ガイドさんは重そうなウエイトベルトを巻いているよね?」と思うかもしれません。

確かにインストラクターやガイドは、ゲストのウエイトが足りない時に渡したり、浮き気味のゲストを確保したりといった「業務上の理由」であえて重めに潜ることがあります。

またプロ候補生も、講習スピードに合わせるために調整している場合があります。

しかし、これは圧倒的な脚力(フィンキック)やボディコントロールの技術があるからこそ成せる業です。

一般のレジャーダイバーにとっては、オーバーウエイトはメリットよりもリスクの方が遥かに大きいのです。

まとめ

潜行への不安からウエイトを増やしてしまうのは、決して恥ずかしいことではありません。しかし、適正ウエイトを知ることは、安全だけでなく「ダイビングの本当の楽しさ」を知ることでもあります。

練習専門ガイドの私が、あなたが一番ラクに、そして自由に水中を動ける「適正ウエイト」を一緒に探す「スキルアップ・プラクティス」を開催しています。

水面での調整から、安全停止中の徹底チェックまで、とことんお付き合いします!「耳抜きが苦手」「エア持ちを良くしたい」という方も、ぜひ一度ご相談ください!